講義という「情報」を「保障」すること

こんにちはめろんです。

みなさんは「ノートテイク」という言葉を知っていますか?

ノートテイクとは、耳のきこえない人が講義を受ける際の
耳の役割をすることです。
主に講義の内容(先生の話していること)を
ノートに書いていきます。

では、ノートテイクを実際おこなったり
見たりしたことのある方
どれくらいいらっしゃるでしょうか?

わたしは大学に入ってからノートテイクを知り
少しだけ活動をしていました。
「ノートテイクをする人は先生の言葉を全て文字にする」
と言われ
「え!?すべて…?言ったこと全部!?」
と驚いたことを覚えています。
実際、全ては書ききれないのですが
授業の内容はもちろん、学生からの質問や
雑談などもできる限り文字に起こしていました。

しかし、きこえた言葉を文字にするというのは
思った以上に難しいことでした。
特に雑談などは、授業との関連性が低く、話の展開も早いため
書くスピードが追いつかないことが多かったんです。

「この“情報”、本当に必要なんだろうか?」

そう思っていた時に、
知り合いにこう言われました。
「必要かどうかを判断するのはあなたじゃなく
“情報”をもらったきこえない学生、本人なんだよ。」

ハッとしました。
自分勝手な行為に気づき、恥ずかしくなりました。

もしもわたしが
先生や他の学生の声を書かなかったら。
「ちょっとスピード早いし省略しよう。」
「講義と関係ないから書くのを休もう。」
となってしまったら。

その講義で何が行われているのか
きこえない学生には
“伝わらない”ままなんです。

文字にすることを諦めると
“情報”があるかどうかすら、分からない。
ノートテイクは、“情報”を伝える役割を
担っているのであって
わたしが勝手に「この情報は不要」と
切り捨ててしまうのは違うんだと
初めて分かった瞬間でした。

結局、講義の時間が合わず
ノートテイクをしたのは
半年にも満たない期間でしたが、
わたしはそれが
「情報(きこえた内容)を保障する(伝える)」
ことの大事さを知る
きっかけとなった出来事でした。

今も時々、日常のちょっとしたことを
きこえない人に伝える場面があります。
例えば、電車内での停車駅等のアナウンスや
こういう音がきこえてるよ、
ということを伝えたりしていますが
その時はこの経験を思い出しています。

“これはちょっとしたことだから、不要な情報”
だと判断するのは、きこえるわたしではなく、
目の前のきこえない人、ですから。

▽ノートテイクに興味を持った方へ
参考:PEPNet-Japanノートテイカー養成の手引き

この記事が気に入ったら
いいねしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次