思わずドキッとするとき
わたしは耳がきこえない
だからみんなが
わたしを呼ぶときはだいたい
わたしの肩を叩いてくれる
ある日 誰かがわたしの肩を
ポンっと叩いた
とても優しい叩き方だった
きっと友達だろう
そう思って振り向くと
わたしの肩を叩いたのは
クラスの中で
いつも怖そうにしていた人だった
恐る恐る「何?」と聞いてみると
どうやら
わたしが落とした携帯を
拾ってくれたようだ
普段の見た目からは
まったく想像のつかない
優しい叩きかたに
胸がドキッとしてしまった